情報学部 菅沼ホーム 目次 索引

IT パスポート試験

ストラテジ系(経営全般)-大分類1:企業と法務-

    1. 1-1 中分類1:企業活動
      1. 1-1-1 経営・組織論
      2. 1-1-2 OR・IE
      3. 1-1-3 会計・財務
    2. 1-2 中分類2:法務
      1. 1-2-4 知的財産権
      2. 1-2-5 セキュリティ関連法規
      3. 1-2-6 労働関連・取引関連法規
      4. 1-2-7 その他の法律・ガイドライン・技術者倫理
      5. 1-2-8 標準化関連

1-1 中分類1:企業活動

1-1-1 経営・組織論

  企業活動,経営資源,経営管理,経営組織などの基本を理解する.

  1. 企業: 営利を目的として一定の計画に従って経済活動を行う経済主体.活動形態や規模によって,例えば,以下のように分類できる.

    [活動形態による分類]
    1. 第 1 セクター: 国や地方公共団体が出資・経営する企業
    2. 第 2 セクター: 民間が出資・経営する企業
    3. 第 3 セクター: 国や地方公共団体と民間が合同で出資・運営する企業
    4. 第 4 セクター: 民間によって設立され,利益を分配しない企業

    [規模による分類]
    1. 大企業: 資本金 10 億円以上
    2. 中堅企業: 資本金 1 億円以上 10 億円未満
    3. 中小企業: 資本金 1000 万円以上 1 億円未満
    4. 零細企業: 資本金 1000 万円未満

  2. 企業理念と社会的責任( CSR: Corporate Social Responsibility )

    企業理念: 全会社員が共有すべき企業における意志決定や行動の基準となる考え方.

    ディスクロージャ情報公開): 企業の経営状況を外部に公開すること

    社会的責任CSR: Corporate Social Responsibility ): 企業が,製品やサービスの提供,雇用の創出,税金の納付,文化・芸術の提供などによって,社会に対して果たすべき責任.

  3. 経営資源と経営管理

    一般に,経営資源は,「人,もの,金」と言われ,これに「情報」を加える場合もある.経営目標を達成するためには,これらの経営資源を最適に配置させること(経営管理)が重要になる.

    PDCA とは,計画を立て( Plan ),それを実行( Do )・評価( Check )し,評価結果に基づいて改善( Action )するというサイクルを表す.このサイクルを繰り返しながら,問題点を徐々になくし,より高い目標の達成を目指すことになる.

  4. 経営組織

      直接部門(ライン): 販売部,製造部などのように,組織の目的を直接遂行する部門

      間接部門(スタッフ): 人事部,経理部などのように,直接部門を支える部門

      CEO( Chief Executive Officer ): 最高経営責任者

      CIO( Chief Information Officer ): 企業情報システムの最高責任者

      COO( Chief Operationg Officer ): 担当業務の最高業務執行責任者

    1. 職能別組織: 最も一般的な組織であり,営業部,人事部のように,業務の内容によって分割した組織である.担当業務だけを遂行する際は効率的であるが,組織にまたがる業務の場合は,組織間の壁が業務の遂行に支障となる場合がある.

    2. 事業部制組織: 製品別,地域別などに分割した組織であり,各事業部ごとに,別々の企業のように振る舞うことができる.

    3. カンパニ制組織: 事業部制組織と似た組織であるが,事業部制組織より各組織の独立性が強い.

    4. プロジェクト組織: 特定の仕事(プロジェクト)を達成するために,様々な業務を遂行する人間を集め,プロジェクトを達成するまでの間生成される流動的な組織である.

    5. マトリックス組織: 職能別とプロジェクト別など,複数の組織を組み合わせて作る組織である.各組織の長所を取り入れることができるが,上司が複数人存在するなど,命令系統が複雑になりやすい.

  5. コンピュータリテラシ

    コンピュータリテラシとは,コンピュータで何ができて,何ができないかを知った上で,コンピュータを操作して目的とする作業を行い,必要な情報を得ることができる知識と能力を持っていることである.情報リテラシーと混同される場合も多い.

1-1-2 OR・IE

  業務の把握,業務分析,業務計画,意思決定,問題解決などに利用される OR や IE の手法を理解する.

OR( Operations Research ): 「システムの運用に関する問題に,科学的な方法・技法および用具を適用して,これを管理する人々に最適の解を提供すること」(C・W・チャーチマン)

IE( Industrial Engineering ): 「IE は,人間,材料,および設備が一体となって機能を発揮するマネジメント・システムの設計,改良,設置をすることである.前記システムの成果を規定し,予測し,評価するために,数学,自然科学,人文科学中の特定の知識を利用するとともに,技術上の分析と総合についての原理と手法を併用する.」(日本IE協会)

QC( Quality Control ): 品質管理.商品やサービスの質の向上を目指す活動

  1. QC 7つ道具 (定量的な分析が主)

    1. 層別: データを,顧客別,商品別など様々な層に分け,チェックシートや各種グラフを利用して分析すること.参考のため,典型的なグラフを以下に示す.

      • 棒グラフ: 何かを並べて比較したいとき

      • 折れ線グラフ: 何かの変化を見たいとき

      • 円グラフ: 何かの割合を比較したいとき

      • レーダーチャート: 何かのバランスを見たいとき

      • ポートフォリオ図: 3 つの変数に対する変化を見たいとき

    2. ヒストグラム(度数分布図): データをいくつかの区間に分け,各区間に入るデータ数(度数)を棒グラフで表示したもの.たとえば,テストの点が以下のようになった場合のヒストグラムは右図のようになる.
      点数の範囲 人数(人)
      0~20点 5
      21~40点 20
      41~60点 30
      61~80点 25
      81~100点 3

    3. パレート図: 度数が大きい順に並べたヒストグラムと,度数の全体に対する割合の累積値を折れ線グラフで表現した図であり,ABC 分析で使用される.

      ABC 分析では,全体の約 70 %を占める項目を A グループ,全体の約 90 %を占める項目から A グループを除いた部分を B グループ,残りを C グループとして分析を行う.たとえば,右図が部品ごとの故障回数(ヒストグラム)と全体に対する割合の累積値(折れ線グラフ)を表したものであるとしたとき,A グループに入る小数重点項目(部品1,部品2)に対する故障を減らせば,全体の故障率は大きく改善されることが分かる.

    4. 散布図: 対となるデータ(たとえば,数学の点数と英語の点数)をプロットし,2つのデータ間の相関関係を見るための図である.正の相関(片方のデータが大きいときは,他のデータも大きい)があるときは右上がりの図,負の相関(片方のデータが大きいときは,他のデータは小さい)があるときは右下がりの図となる.

    5. 管理図: 基準値に対するデータのばらつきを見るための図である.基準値を CL ( 中心線,Center Line ) ,許容範囲の上限値を UCL ( 上方管理限界線,Upper Control Limit ),下限値を LCL ( 下方管理限界線,Lower Control Limit ) と呼ぶ.また,UCL と LCL の間を公差と呼ぶ.平均の変化を表す X 管理図,不良個数の変化を表す P 管理図,最大値と最小値の差の変化を表す R 管理図などがある.

      UCL や LCL の外に出る,ばらつきが時間とともに大きくなるなど,異常なデータが見られたり,ばらつきに一定の傾向が見られるときは,何らかの原因があるはずであり,それを発見するために使用される.

    6. 特性要因図(フィッシュボーンチャート): 問題とその原因を,魚の骨の形をした図に系統的に記述する.中心の矢印を背骨,背骨につながる斜めの線を大骨と呼ぶ.

    7. チェックシート: 統計的なデータを収集する際にデータの数を数える,抜けがないように重要な項目にチェックを入れるなどの場合に使用される用紙やその様式のことである.

  2. 新 QC 7つ道具 (定性的な分析が主)

    1. 親和図: アイデアなどをカードに書き,それをグループ化してタイトルを付けるといった作業を繰り返しながら,データを整理したり,問題点を明らかにしていく方法である.グループ化,タイトルの付加,文書化などの過程から,データの構造や問題点が明らかになり,新しいアイデアが生まれる可能性がある.後に述べる KJ 法と同じと言っても良い.

    2. 系統図: 目的を達成するための手段を,階層的に表現する方法である.

    3. 連関図: 問題点を挙げ,その原因を矢印でつないで明らかにしていく方法である.

    4. マトリックス図: 関連を分析したい 2 種類の要素を表の行と列にとり,要素中の各項目の交差位置には,それらの間の関連度を表す記号を記入し,要素間の関連を明らかにする方法である.

        大学の成績 退学率 就職
      入試種別  
      プレースメントテスト  
      高校の評定平均値  
      ○:相関あり, △:多少相関あり, 無印:相関なし

    5. マトリックスデータ解析図: マトリックス図と同様,2 種類の要素間の関連を調べる方法であるが,マトリックス図とは異なり,項目間の関係を記号ではなく,数値で表現できる場合に利用される定量的解析手法である.具体的には,多変量解析における主成分分析に相当する.

      主成分分析は,互いに関係するいくつかの要素を一つの変量に要約し,その特徴を把握しようとするものである.たとえば,ある製品の売り上げは,製品の性能,サイズ,価格などで決まるとする.このとき,性能,サイズ,価格などで決まる変量の内,売り上げに最も影響する変量を第一主成分,その次に影響する変量を第二主成分などという.第n主成分に対する各要素の寄与率から,その主成分を特徴付けることができ(たとえば,価格に対応する主成分),その結果に基づき,売り上げを分析することになる.

    6. PDPC ( Process Decision Program Chart ): 目的を達成するまでの手順をすべて洗い出し,流れ図のような図で表現した方法である.

    7. PERT 図(アローダイアグラム): PERT は,作業の順番と,各作業にかかる時間を考慮しながら,全体のスケジュールを管理するために使用される手法である.以下,簡単な例を元に,PERT ネットワークの作成・解析方法について説明する.

      1. 作業の所要時間及び先行関係:  A~L の作業から成るプロジェクトがあり,各作業の所要時間(単位:日),及び,それらの先行関係は以下の通りであるとする.

        作業 所要時間 先行作業 作業 所要時間 先行作業
        A 5 - G 4 D
        B 3 - H 3 D, E
        C 2 - I 5 H
        D 2 A J 1 G, I
        E 8 B, C K 2 H
        F 5 C L 2 F

      2. PERT ネットワークの作成:  上の表に基づき,PERT ネットワークを以下のルールに従って作成する.

        • 各結合点には番号を与え,結合点 i から結合点 j にのびる矢印 ( i, j ) は作業を表し,i < j となるようにする.矢印上には,対応する作業,所要時間等を記入する.なお,ネットワーク全体には,プロジェクト開始と終了を示す結合点が一つずつなければならない.

        • 結合点に入り込む作業がすべて終了したときに,当該結合点から出る作業を開始できる.

        • 二つの結合点の間には,高々一つの作業しか存在してはいけない.例えば,下図における左側の表記は許されない..ダミーの矢印を使用し,右図のように書かなければならない.

        • 右図のように,結合点から出て,同一結合点に戻るループは存在してはいけない.

        • 矢印の長さと作業時間は無関係である.

        現在の例に対して PERT ネットワークを作成すると,以下のようになる.矢印上に書かれたアルファベットは作業,また,カッコ内の数字は作業時間である.なお,各結合点近傍に書かれた四角の中の数字については後ほど説明する.

      3. 最早開始時刻(最早結合点時刻, ES: Earlist Start Time )の算出:  時刻 0 にプロジェクトを開始したとき,ある結合点に最も早く到達可能な時刻,つまり,ある結合点に至るすべての作業が完了している最も早い時刻を計算する.この計算は,番号が小さな結合点から順に行われるため,前進計算と呼ばれる.今,

        ESj: 結合点 j の最早開始時刻
        pij: 作業 (i,j) の所要時間

        とすれば,以下のようにして計算できる.

        ESj = maxi {ESi + pij}

        具体的に計算した結果が,図1における各四角内の上段の数字である.

      4. 最遅完了時刻(最遅結合点時刻,LF: Latest Finish Time )の算出:  結合点 i の最遅完了時刻 LFi とは,結合点 i を始点とする作業 pij によって結合されているすべての結合点 j へ,最早開始時刻前に到達するために,結合点 i に到達していなければならない時刻である.この計算は,プロジェクトの終了を表す結合点から順に行われるため,後退計算と呼ばれる.式で書けば,以下のようになる.

        LFi = minj {LFj - pij}

        具体的に計算した結果が,図1における各四角内の下段の数字である.この結果,最早開始時刻と最遅完了時刻が一致した結合点を結んだパスを.クリティカルパスと呼ぶ.クリティカルパスは,プロジェクトの総作業時間を決めるものであり,クリティカルパス上の作業の遅れは,全体の遅れに直接響くことになる.

  3. 回帰分析

    回帰分析は,対となる 2 種類のデータをプロットし,それらのデータ間の関係を直線で近似(回帰直線)して分析する方法である(最小 2 乗法による予測

  4. 時系列分析

    時系列分析とは,時間経過ごとに記録された数値列からモデルを作成して,将来の予測を行う分析手法である.例えば,平均による方法(単純平均法移動平均法簡易指数平均法)や最小 2 乗法などがある(予測).

  5. シミュレーション

    すべてのシステムに対して,実際にシステムを作成してから解析するのが最も確実であるが,費用,時間などの面から,困難であることが多い.そのため,コンピュータによるシミュレーションが重要な手段となる(システムのモデルとシミュレーション).

  6. 在庫管理

    ある商品を売ろうとした場合,それが売れるまではある程度の量をどこかに保管しておく必要がある.お客さんが来ても売るべき商品が無いような状態では,せっかくの商機を失うことにも成りかねない.しかし,保管するには,場所や費用がかかる.また,保管期間によって,商品価値が無くなるものも少なくない.このように,「どの程度の在庫を持つべきか」,「何時,どのくらいの量を発注すべきか」等の問題を扱うのが,在庫管理の分野である(在庫管理

  7. 決定表と決定木

    条件とその条件が満たされたとき実行すべき行動を記述したものである.グラフ(木)の形で記述したものを決定木(デシジョンツリー),表の形で記述したものを決定表(デシジョンテーブル)と呼ぶ.

  8. 最適化手法

    システムの最適化を図りたい場合も多く存在する.最適化問題において,何を最適化したいのかを表す関数を目的関数と呼ぶ.また,最適化には何らかの制約条件が付いてくる.目的関数と制約条件の形によって,様々な手法が提案されている.

    目的関数及び制約条件のすべてが 1 次式で表現された問題を解く手法を線形計画法,いずれかに非線形の式が含まれる問題を解く手法を非線形計画法という.また,目的関数や制約条件に,離散的な値しか取らないような関数が含まれる問題を解く手法を組み合わせ最適化という.

  9. 問題解決手法

    1. ブレーンストーミング: 参加者が,自由にアイデアを出し合う会議方法であり,問題解決の一手法として利用される.ブレーンストーミングでは,

      • 批判禁止: 他人の意見を批判してはいけない
      • 質より量: できるだけたくさんの意見を出す
      • 自由奔放: 条件にとらわれず,自由に意見を出す
      • 結合便乗: 他の人の意見に便乗することは歓迎する

      の 4 条件を守る必要がある.

    2. バズセッション: メンバーを少人数に分けて議論した後,各グループの結論を持ち寄り,全体の結論を出す方法である.

    3. KJ 法: 元々,川喜多二郎氏が,野外調査データの整理法として考え出した方法であるが,問題解決手法としてよく使用される.アイデアなどをカードに書き,それをグループ化してタイトルを付けるといった作業を繰り返しながら,問題点を明らかにしていく方法である.グループ化,タイトルの付加,文書化などの過程から,問題点が明らかになり,新しいアイデアが生まれる可能性がある

    4. ワークデザイン法: 難問を攻略する理想的な方法を最初に仮定し,次に実際の具体的な状況に関する情報を収集して分析を加えることで,理想的な対応策の実現可能性を探る理想設定型の発想技法である..

1-1-3 会計・財務

  売上と利益の関係,及び,企業における損益計算書などの財務諸表や勘定科目などの種類と役割について理解する.

  1. 売上と利益の関係

    1. 売上と利益

      • 売上高: ものやサービスの提供によって本業で得られた収益

      • 売上原価: 売上原価は物品販売業(卸売業・小売業),製造業,サービス業など業種によって算入される科目が変わってくる.物品販売業では販売した商品の仕入高(仕入原価)を計上する.製造業では,販売まで至った製品を製造するために要した材料費や製造ラインの人員の賃金,そして製造機器や工場運営にかかった経費など(製造原価)を計上する.サービス業では,サービスを行う人員の人件費が主な売上原価として計上される.

      • 売上総利益 = 売上高 - 売上原価

      • 販売費(営業費)及び一般管理費: ものを製造するのに直接必要な売上原価とは異なり,企業を運営するために必要な経費であり,一般に,売上高に関係なく一定である場合が多い.販売費には,販売手数料,広告費などが,また,一般管理費には,福利厚生費,間接部門の人件費,事務所の運営費などが含まれる.

      • 営業利益 = 売上総利益 - 販売費及び一般管理費

      • 営業外収益: 受取利息,受取配当金など,本業を継続するための付随的活動によって得た収益

      • 営業外費用: 支払利息,社債利息,有価証券売却損など,企業の本業以外の付随的活動によって生じる費用

      • 経常利益 = 営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用

      • 特別利益: 会社所有の不動産の売却など,その期に特別発生した利益

      • 特別損失: 建物の焼失,固定資産売却損(土地を原価より安値で売却した場合など),不動産や有価証券の含み損(購入金額と時価との差)など,臨時的に生じた損失

      • 総原価: 製品の総原価は,大きく分けると製造原価と販売費(営業費)に分かれる.製造原価は,材料費・部品費や作業員の給料,工場の水道光熱費,減価償却費など,その製品を製造するのに必要となったすべての費用を含む.また,販売費は,製品が完成してから販売するのに必要な,営業職員の給料,宣伝広告費などを含む.

    2. 損益分岐点

      利益は,一般に,売上と費用によって,

      利益 = 売上 - 費用

      のように表現することができる.さらに,費用は,固定費と変動費に分類できる.ここで,固定費とは,人件費,広告費など,製造個数によって変化しない費用であり,変動費とは,材料費のように製造個数によって変化する費用である.なお,売上に対する変動費の割合を変動費率という.このように,固定費の部分が存在するため,ある程度の個数を製造し売らない限り,利益を得ることができない.この赤字と黒字が切り替わる点を,損益分岐点と呼ぶ(右図参照).

    3. 在庫の評価と減価償却

      ある製品を製造するのに必要な材料を外部から調達する場合,適切な量を発注し,保管しておくことになる.しかし,仕入れた時期によって価格が異なるような場合,材料費として計上すべき金額が曖昧になってしまう.そこで,在庫の評価方法として以下に示すような方法が使用される.なお,製品の生産に使用する(引き当てる)ことができる在庫量のことを引当可能在庫量という.

      • 先入先出法: 仕入れ時期が最も古いものから順にその価格を利用する方法.たとえば,4 月に単価 10,000 円で 10 個仕入れ,5 月に単価 20,000 円で 10 個仕入れたとする.このような状況で,3 個使用した場合は,その材料費は 30,000 円となり,残りの在庫評価額は 270,000 円となる.

      • 後入先出法: 仕入れ時期が最も新しいものから順にその価格を利用する方法.上と同じ例の場合,その材料費は 60,000 円となり,残りの在庫評価額は 240,000 円となる.

      • 移動平均法: 納入された時点ごとに,全在庫の平均値を計算し,その値を利用する方法.上と同じ例の場合,5 月に納入された時点で,単価は 15,000 円となる.

      • 総平均法: 期初在庫の評価額と仕入れた商品の総額との合計をその数量で割った価格を利用する方法.移動平均法と似ているが,総平均法では,月,期などの一定期間ごとに行う点が異なる.

      製造のための機械装置など,高価で,かつ,長期間使用するものを購入した場合,その金額をその期だけの会計に組み入れると,原価計算に正しく反映されない.そこで,購入費用を法で定められた使用年数(償却年数)で分割し,各年度の会計に組み入れるといった処理を行う.これを減価償却という.減価償却の計算方法には,以下に示す二つの方法がある.

      • 定額法: 購入金額から残存価額を引いた値を償却期間(耐用年数)で等分する方法

      • 定率法: 購入金額または残りの償却額(未償却残高)に,一定の率を乗じて償却額を計算する方法

  2. 勘定科目

      経営活動で生じる取引(お金の動き)を一定の規則に従って記録することを簿記という.簿記では,取引を様々な項目に分類して記録するが,この項目のことを勘定科目と呼び,たとえば以下に示すようなものが存在する.

    1. 資産

      • 純資産(自己資本): 会社の総資産から負債総額を引いたもの.資本金,資本準備金,利益準備金,利益剰余金などが含まれる.

      • 流動資産: 資産のうち,通常 1 年以内に現金化,費用化ができるもの.当座資産(現金,普通預金,当座預金,売掛金など),棚卸資産(製品,原材料など),未収金,前払金などが含まれる.

      • 固定資産: 資産のうち,販売目的でなく継続的に会社で使用する資産.有形固定資産(物的な資産)としては,土地,建物,機械装置などが,また,無形固定資産(人的な資産)としては,営業権,特許権,著作権,借地権などが含まれる.

      • 繰延資産: 資産のうち,開業費,新株発行費,商品開発費などのように,将来企業に利益をもたらすと考えられるもの

    2. 負債

      • 流動負債: 本業の営業取引によって発生した債務,1 年以内に支払期限が来る債務などをいう.支払手形,短期借入金,未払金などが含まれる.

      • 固定負債: 通常の営業活動以外で発生する債務のうち,返済期日が 1 年以内に来ないものなどをいう.社債,長期借入金,退職給付引当金などが含まれる.

    3. 収益: 売上,受取利息,固定資産売却益など

    4. 費用: 仕入,給料,支払利息 ,交通費,通信費など

  3. 財務諸表

    1. 貸借対照表( B/S : Balance Sheet ): 企業の財務状態を表した書類であり,資産と負債及び純資産を対比して記述する.企業が所有している全資産を,他人のものと自分のものに分類した書類であり,資産の総額と(負債+純資産)の総額は必ず一致する.

    2. 損益計算書( P/L : Profit and Loss Statemant ): 企業の経営状態を表した書類であり,一会計期間に属するすべての収益と費用を記載し,算出した利益を示したものである.

    3. キャッシュフロー計算書( C/S : Cash Flow Statement ): 損益計算書だけからは,企業が自由に使用できる現金を知ることができない.たとえば,銀行からの借り入れによって現金は増加するが,損益計算における収益ではない.また,減価償却費は損益計算上は費用となるが,現金の減少とは一致しない.キャッシュフロー計算書は,会計期間における現金及び現金同等物の増減,簡単に言えば,企業が自由に使える現金を記述した書類であり,収入と支出(キャッシュ・フロー)を営業活動・投資活動・財務活動ごとに区分して記述する.

    4. 仕訳伝票: 取引を借方と貸方に分け,勘定科目を決定し,金額を記録することを仕訳といい,この仕訳を記録した伝票のこと.

    5. 総勘定元帳: 仕訳伝票の内容を勘定科目ごとに集計し,決算の基礎資料となる帳簿.

  4. 経営に関する指標

    1. 総資産利益率( ROA: Return On Assets )総資本利益率 = 純利益/総資産 = 売上高利益率(利益/売上高) × 資本回転率(売上高/資本)

    2. 自己資本利益率( ROE: Return On Equity ) = 純利益/純資産

    3. 流動比率 = (流動資産 / 流動負債) × 100 (%)

    4. 当座比率 = (当座資産 / 流動負債) × 100 (%)

    5. 固定比率 = (固定資産 / 自己資本) × 100 (%)

    6. 総資本対自己資本比率 = (自己資本 / 総資本) × 100 (%)

    7. 負債比率 = (他人資本 / 自己資本) × 100 (%)

      総資産: 貸借対照表の「資産の部」の合計額(=総資本

      他人資本(負債): 総資本の内,他人から借りた資金

      自己資本(純資産) = 総資本 - 他人資本: 出資金,剰余金,準備金,自己株式などが含まれる.

    8. 資本生産性 = 付加価値 / 総資本

    9. 労働生産性 = 付加価値 / 従業員数

      付加価値 = 当期純利益 + 人件費 + 金融費用 + 賃借料 + 外注加工費 + 減価償却費

  5. 企業会計原則

      企業会計に関する原則を以下に述べる.なお,企業会計の一種であり,経営者の意思決定や企業活動の業績の評価などに用いられるものを管理会計という.管理会計は,財務会計とは異なり企業内部だけで使用され,必要に応じて,部門別などの単位で損益計算などが行われる.

    1. 真実性の原則】  企業会計は,企業の財政状態及び経営成績に関して,真実な報告を提供するものでなければならない.

    2. 正規の簿記の原則】  企業会計は,すべての取引につき,正規の簿記の原則に従って,正確な会計帳簿を作成しなければならない.

    3. 資本取引・損益取引区別の原則】  資本取引と損益取引とを明瞭に区別し,特に資本剰余金と利益剰余金とを混同してはならない.

    4. 明瞭性の原則】  企業会計は、財務諸表によって,利害関係者に対し必要な会計事実を明瞭に表示し,企業の状況に関する判断を誤らせないようにしなければならない.

    5. 継続性の原則】  企業会計は,その処理の原則及び手続を毎期継続して適用し,みだりにこれを変更してはならない.

    6. 保守主義の原則】  企業の財政に不利な影響を及ぼす可能性がある場合には,これに備えて適当に健全な会計処理をしなければならない.

    7. 単一性の原則】  株主総会提出のため,信用目的のため,租税目的のため等種々の目的のために異なる形式の財務諸表を作成する必要がある場合,それらの内容は,信頼しうる会計記録に基づいて作成されたものであって,政策の考慮のために事実の真実な表示をゆがめてはならない.

1-2 中分類2:法務

1-2-4 知的財産権

  知的財産権について理解する

  1. 知的財産権

    大分類 小分類 保護されるもの 保護期間など
    産業財産権 特許権 新規性と進歩性を有した高度な創作物の発明 出願から 20 年
    実用新案権 物品の形状,構造,または,組み合わせを考案したもの 出願から 10 年
    意匠権 物品のデザインや装飾 出願から 20 年
    商標権 商品の目印になるマークや商品名など 出願から 10 年.延長が可能
    著作権 著作人格権 著作者の人格(公表権,氏名表示権,同一性保持権).譲渡できない 個人の場合は死亡後 50 年,法人の場合は公表後 50 年.映像コンテンツの場合は,公表後 70 年.
    著作財産権 著作者の財産(複製権,公衆送信権,上演権及び演奏権,上映権及び頒布権,貸与権,翻訳権,翻案権,口述権,展示権,二次的著作物の利用に関する原著作者の権利)
    著作隣接権 著作物の伝達に重要な役割を果たす「実演家」,「レコード制作者」,「放送事業者」,「有線放送事業者」の 4 者に与えられる著作権に準じた権利

    [著作権の制限] 以下の場合は,許される行為となる.ただし,無制限ではない.

    1. 私的使用による複製

    2. 公共の使用による複製

      • 図書館等における複製
      • 教科用図書への掲載
      • 学校教育番組の放送等
      • 教育機関における複製
      • 試験問題としての複製

    3. 引用(以下の要件を満たしていること)

      • 公表された著作物の引用であること
      • 公正な慣行に合致していること
      • 正当な範囲で行われること
      • 出所を明示すること

  2. 不正競争防止法

    不正競争防止法は,著名な商品と同一・類似の商品を作成したり,営業秘密に係わる不正行為を禁止する法律であり,以下に示すようなことを不正競争行為とみなしている.

    • 営業秘密の不正入手
    • 模造品や類似した商号
    • パスワードやスクランブルの不当解除
    • 商品やサービスの不当表示
    • 虚偽の情報などによる営業妨害

  3. ソフトウェアライセンス

      ソフトウェアは,一般に,発売元からのライセンス(使用許諾)を受けて使用する必要がある.ライセンスの形態には,個人利用者としてのライセンスだけでなく,以下に示すように,複数の人が使用できるライセンスの形態も存在する.

    • ボリュームライセンス: 少数の媒体を提供し,インストールできる数(使用できる人数)をあらかじめ決める契約

    • サイトライセンス: 大学内,企業内など,使用できる場所を特定し,その場所内であれば複数の人が自由に使用できるような契約

    • マルチユーザライセンス: 利用できるユーザ数の上限によりライセンス料を決定する契約

    • サーバライセンス: インストールするサーバを特定してライセンス料を決定する契約

      なお,一般の有料のソフトウェア以外に,以下に示すようなソフトウェアも存在する.

    1. フリーソフトウェア: 無料のソフトウェア.ただし,著作権を放棄していないので,勝手に改変したり再配布することはできない.

    2. シェアウェア: 一般にネットワークで配布され,著作権を保持した安価な有料ソフトウェア.

    3. パブリックドメインソフトウェア: 著作権を放棄した無料ソフトウェア.

    4. オープンソースソフトウェア: ソースコードを公開,再配布を制限することを禁止,無保証,派生ソフトウェアを許諾,著作権の保持などの特徴を持ったソフトウェア.

1-2-5 セキュリティ関連法規

  不正アクセスとはどのような行為であるかを知り,不正アクセスを防ぐにはどうすべきかを理解する.

  1. 不正アクセス: 不正アクセス禁止法では,以下に示すような行為を禁止している.

    1. 他人の ID やパスワードの無断使用(なりすまし)
    2. 他人の ID やパスワードを第三者に提供
    3. セキュリティホールを攻撃してコンピュータに侵入

  2. コンピュータ関連の犯罪

    1. 電子計算機使用詐欺罪: プログラムやデータを細工して,金品の搾取など

    2. 電子計算機損壊等業務妨害罪: コンピュータの物理的破壊,プログラムやデータの破壊による動作の混乱など

    3. 電磁的記録不正作出・供用罪: データを不正に作成(作出),不正なデータを使用(供用)

    4. 電磁的記録毀棄罪: ファイルの削除・改ざん

    5. 電磁的公正証書原本不実記録供用罪: 公正証書に事実でない記述

1-2-6 労働関連・取引関連法規

  労働関連法規や取引関連法規の基本を理解する.

  1. 労働関連法規

    1. 労働基準法: 最低賃金,労働時間,休息,休暇などに対して,最低限守らなければならないことを定めた法律である.

    2. 労働者派遣法(労働者派遣事業法): 労働者を企業に派遣するためには認可が必要であり,労働者派遣法は,派遣業者が守らなければならないことを定めた法律である.主な内容は以下に示すとおりである.

      • 派遣事業を,自社社員を派遣する特定労働者派遣事業と,登録した労働者も派遣する一般労働者派遣事業に分類している
      • 派遣労働者に諸条件を提示しなければならない
      • 労働者から苦情が出た場合は,派遣先と派遣元が連携して対処しなければならない
      • 派遣先への転職は禁止しない
      • 派遣を禁止する業種を定めている
      • 26 業種については派遣期間の制限はないが,それ以外は 3 年以下とする

    3. 契約方法等

      • 雇用契約: 当事者の一方が相手方に対して労務に服することを約して,相手方がその労務に対して報酬を支払うことを約することによって効力を生ずる契約

      • 委任契約: 委任(委任契約)は,法律行為をなすこと(業務の処理)を他人に委託し,承諾することによって成立する契約

      • 請負契約: 受託者が委託者から業務を請け負う形であり,業務を行う労働者は受託者と雇用関係・指揮命令関係がある.プログラムなどを開発した場合,その著作権は,受託者にある.

      • 派遣契約: 派遣業者から労働者を派遣してもらって業務を遂行する形であり,労働者との雇用関係は派遣元企業,指揮命令関係は派遣先企業にある.プログラムなどを開発した場合,その著作権は,派遣先企業にある.

      • 出向: 系列会社等へ出向いて仕事をすることであり,出向元及び出向先の双方に雇用契約がある在籍型と,出向先だけに雇用契約がある移籍型が存在する.

  2. 取引関連法規

      基本的に,売買契約は,売り手と買い手の間で意思が一致すれば成立する.つまり,売り手が買い手に対して「売る」と言い,買い手が売り手に対して「買う」と言えば,売買契約が成立することになる.しかし,そこに何らかの問題が発生すると法律が必要になる.それが,取引関連法規である.

    1. 下請法(下請代金支払遅延等防止法): 下請事業者の保護を目的とした法律

    2. PL 法(製造物責任法): 製造物の欠陥により製造物の使用者が生命・身体・財産などに損害を受けた場合,製造業者が被害者に対して負う損害賠償について定めた法律

1-2-7 その他の法律・ガイドライン・技術者倫理

  個人情報,情報倫理,企業におけるコーポレートガバナンスやコンプライアンスについて理解する.

  1. プライバシー権

    プライバシー権とは,個人,グループまたは組織が,自己に関する情報をいつ,どのように,また,どの程度他人に伝えるかを自ら決定できる権利.簡単に言えば,「自己の情報の流れをコントロールする権利」と表現できる.

  2. 個人情報

      個人情報とは,生存する個人に関する情報であって,当該情報に含まれる氏名,生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ,それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む)をいう.個人情報保護法では,5,000 人以上の個人情報を保有している事業者を個人情報取扱事業者と呼び,以下に示すような原則を守る義務を課している(私的利用,報道,著述,学術,宗教,政治活動については除外).なお,適切な保護体制を整備している事業所であることを,JIS Q 15001 に準拠して認定する制度をプライバシーマーク制度という.

    1. 利用目的による制限: 個人情報は,その利用目的が明確にされると共に,当該利用目的の達成に必要な範囲で取り扱われること.従って,無断で他者に個人情報を譲渡することも禁止される.

    2. 適正な方法による取得: 個人情報は,適法かつ適正な方法で取得されること.

    3. 内容の正確性の確保: 個人情報は,その利用目的の達成に必要な範囲内において正確かつ最新の内容に保たれること.

    4. 安全保護措置の実施: 個人情報は,適切な安全保護措置を講じた上で取り扱われること.

    5. 透明性の確保: 個人情報の取り扱いに関しては,本人が適切に関与しうるなどの必要な透明性が確保されること.

  3. コーポレートガバナンスとコンプライアンス

    企業を適切に管理運営する機能,つまり,内部統制の仕組みや不正行為を防止する機能をコーポレートガバナンス(企業統治)と呼ぶ.コンプライアンス(法令遵守)と並び(または,それを実現するための手段として),最近重要視されるようになった.経済産業省では,「コーポレートガバナンス及びリスク管理・内部統制に関する開示・評価の枠組について-構築及び開示のための指針-(案)」において,コーポレートガバナンスを企業経営を規律するための仕組と位置付け,企業経営者が構築するために参考とするべき以下に示すような基本事項を示した.

    • コーポレートガバナンスの確立
    • 健全な内部環境
    • リスクの認識・評価
    • リスクへの適切な対応
    • 円滑な情報伝達
    • 業務執行ラインにおける統制と監視
    • 独立した監視(内部監査)

  4. 情報倫理

    情報倫理とは,情報を取り扱う際に守るべきルールの意味であり,ネチケット(インターネット使用時のエチケット)や著作権・プライバシー権などに対する配慮すべきことが含まれる.たとえば,ネチケットとして,電子メールの場合は,

    • 名乗る
    • できるだけ早く返信
    • 言葉遣い
    • 相手の環境  テキストとHTML,添付ファイルサイズ
    • 機種依存文字
    • 同報機能(同報メール)  TO,CC,BCC
    • 相手に必要な情報

    などの点に注意する必要がある.

    しかし,現実には,ジャンクメール(役に立たない情報が書かれているメール),チェーンメール(不幸の手紙のようなメール),スパムメール(不特定多数にばらまかれる広告,詐欺まがいの情報など)など,迷惑メールが後を絶たない.これに対処しようとするのが,迷惑メール防止法であり,広告メールには以下の点を明記することが定められている.

    • 広告メールであること(承諾を得ていない場合は,「未承諾広告」を明記)
    • 送信者の名称,住所
    • 広告の送信メールアドレス
    • 送信者の受信用メールアドレス
    • 受け取り拒否手続き

    なお,メール送信に対する規制方法として,オプトイン(受信を承諾した相手だけにメールを送る)とオプトアウト(未承諾の人にもメールを送れるが,拒否のための手続きを明記しておく)という方法があるが,迷惑メール防止法はオプトイン方式によっている.

1-2-8 標準化関連

  標準化標準化の必要性や意義を理解し,代表的な国際標準化団体や国内標準化団体について知る.

  1. IT における標準化の例

    1. JAN コード: JIS で定められたバーコードなどのコード規格.JAN は日本の規格であり,米国規格は UPC,ヨーロッパ規格は EAN である.以下に示すように,標準タイプ( 13 桁)と短縮タイプ( 8 桁)が存在する.

      [標準タイプ]

        • 国コード( 2 桁)
        • メーカコード( 5 桁)
        • 商品コード( 5 桁)
        • チェックディジット( 1 桁)

        または

        • 国コード( 2 桁)
        • メーカコード( 7 桁)
        • 商品コード( 3 桁)
        • チェックディジット( 1 桁)

      [短縮タイプ]

        • 国コード( 2 桁)
        • メーカコード( 4 桁)
        • 商品コード( 1 桁)
        • チェックディジット( 1 桁)

    2. QR コード: 位置検出用パターンを検索して 360 度のどの方向からも読取り可能とした 2 次元バーコード.上に示したバーコードより多くの情報を記録可能である.

    3. デファクトスタンダード: 国際機関や標準化団体による公的な標準ではなく,市場の実勢によって事実上の標準とみなされるようになった規格・製品のことである.家庭用ビデオにおける VHS,パソコン向け OS における Windows,インターネット上の通信プロトコルにおける TCP/IP などがデファクトスタンダードの例として挙げられる.

  2. 標準化団体と規格

    1. ISO( International Organization for Standardization ): 国際標準化機構.エ業及び技術に関する国際規格の策定と国家間の調整を実施Lている.

    2. ITU( International Telecommunication Union ): 国連の標準化機関

    3. IEC( International Electrotechnical Commission ): 国際電気標準会議

    4. IEEE( The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc. ): 電気電子技術者学会.アメリカに本部をもつ電気工学と電子工学に関する学会であり,LAN,その他のインタフェース企画の制定に尽力している.

    5. ANSI( American National Standards Institute ): アメリカ国内の工業分野の企画を策定する民間の標準化団体であり,アメリカの代表として ISO に参加している.

    6. W3C( World Wide Web Consortium ): WWW コンソーシアム.Web で使用される技術の標準化機構

    7. JSA( Japanese Standards Association ): 日本規格協会.日本の工業規格の標準化機関.ここで,JIS( Japanese Industrial Standards )(日本工業規格)などを定める.

    8. ISO9000: 品質マネジメントシステム

    9. ISO14000: 環境マネジメントシステム

    10. ISO27000: セキュリティ管理マネジメントシステム

    11. IEEE802: LAN 標準化のための規格

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