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IT パスポート試験

ストラテジ系(経営全般)ー大分類3:システム戦略ー

    1. 3-6 中分類6:システム戦略
      1. 3-6-18 情報システム戦略
      2. 3-6-19 業務プロセス
      3. 3-6-20 ソリューションビジネス
      4. 3-6-21 システム活用促進・評価
    2. 3-7 中分類7:システム企画
      1. 3-7-22 システム化計画
      2. 3-7-23 要件定義
      3. 3-7-24 調達計画・実施

3-6 中分類6:システム戦略

3-6-18 情報システム戦略

戦略に沿って組織を運営するには,まず,組織を解析することが重要である.エンタープライズアーキテクチャEA:Enterprise Architecture )とは,組織のプロセス,構造,機能を包括的に記述する手法であり,それによって組織を戦略目的に沿った方向へ導こうとするものである.情報システム戦略とも強い関係を持っている.なお,エンタープライズアーキテクチャは,大きく以下に示す 4 つの面から記述される.

  1. ビジネス: 戦略マップ,目標,組織モデル,ビジネスプロセス等
  2. アプリケーション: アプリケーションソフトウェアの資産状況,LAN の利用状況等
  3. 情報: データモデル等
  4. 技術: サーバ,LAN の接続図,OS

ビジネスプロセスモデリングBPM:Business Process Modeling )は,企業のプロセスの現状と将来をモデル化する手法であり,エンタープライズアーキテクチャのプロセス的側面を担う.ビジネスプロセス管理BPM:Business Process Management )は,ビジネスプロセスを設計・制定・制御・分析するための手法・技術・ツールであるが,この中で,ビジネスプロセスモデリングは重要な役割を担う.なお,略号が同じため,両者が混同して使用される場合も多い.ビジネスプロセス管理と似たような概念として,ビジネスプロセス・リエンジニアリングBPR:Business Process Re-engineering )という概念があるが,ビジネスプロセス・リエンジニアリングと異なるのは,BPM では一回限りの改革ではなく,継続的なビジネスプロセスの発展を目指しているという点である.

自社の経営戦略,事業戦略を実現することを目的に,情報システムが構築されることになるが,先に述べた,CRM( Customer Relationship Management )SFA( Sales Force Automation )SCM( Supply Chain Management )などはその活用例である.

3-6-19 業務プロセス

  業務改善,問題解決を図るためには,現状の業務プロセスを分析して把握する必要がある.その際に利用する代表的なモデリング(データモデリング)の考え方を理解する.業務フローや E-R 図などから業務内容を把握し,表やグラフなどの業務データを読み,業務改善及び問題解決に向けた分析力,思考力を身に付ける.さらに,IT を活用した,業務改善や業務効率化を図るための様々な方法について理解する.

  1. 代表的なモデリング(データモデリング)手法

    1. E-R 図( Entity Relationship Diagram ): データの構造を,実体( Entity )と実体間の関係( Relationship )を利用して図示したものであり,実体間の関係には以下に示す 4 種類がある.

    2. DFD( Data Flow Diagram ): データの流れに着目して,業務の流れを図示する方法であり,以下に示す 4 つの記号が使用される.

  2. 業務プロセスの分析,改善手法

    1. ビジネスプロセス・リエンジニアリングBPR:Business Process Re-engineering ): 調達,製造,販売,物流,顧客につながる企業活動や業務の流れを分析し,最適化する手法.この中で,企業の経営資源を有効に活用するため,ERP( Enterprise Resource Planning ) パッケージがよく使用される.

    2. ビジネスプロセス管理BPM:Business Process Management ): 人間,組織,アプリケーション,文書などに関するビジネスプロセスを設計・制定・制御・分析するための手法・技術・ツール.ビジネスプロセス・リエンジニアリングと異なるのは,BPM では一回限りの改革ではなく,継続的なビジネスプロセスの発展を目指しているという点である.

    3. ワークフローシステム: 複数の部門や人がかかわる業務の流れをルール化したものに基づき,コンピュータネットワーク上で業務処理や業務支援を行う仕組み.

  3. IT の有効活用

    グループウェア(ネットワークを利用して,共同作業を支援するシステムであり,電子会議室,スケジュール機能,電子メール機能,会議室予約機能などを持つ)やオフィスツールなどの有効利用(例: テレビ会議,電子メール,電子掲示板,ブログ,チャット,SNS( Social Networking Service ))

3-6-20 ソリューションビジネス

  ソリューションの意味及びその提供方法を理解する.

  1. ソリューション

    ソリューションとは,業務システムに関する問題に対する解決策を意味し,その解決策を提供するビジネスをソリューションビジネスと呼ぶ.一般に,解決策の中では,自社開発,ソフトウェアパッケージ導入,他社のサービス活用などが検討される.

  2. ソリューションの提供方法等

    1. SaaS( Software as a Service): ソフトウェアの機能の内,必要な機能だけをネットを介して利用し,かつ,その分だけの支払いを行う方法

    2. ASP( Application Service Provider ): アプリケーションソフトウェアをインターネットを介して実行できる環境を提供している業者

    3. MSP( Managed Service Provider ): ネットワーク,サーバ,ストレージなどの IT 基盤の運用管理を一括して請け負う業者

    4. システムインテグレーションサービス: 複数ベンダの製品を統合し,最適なシステムの設計,裂造,テスト,運用・保守などを一括して請け負うサービス

    5. アウトソーシング: 自社の業務を外部に委託すること

    6. ホスティングサービス: 大量のコンピュータをそろえ,それらのコンピュータの計算能力や記憶媒体を賃貸するサービス

    7. データセンター: 顧客のサーバを預かり,インターネットへの接続回線や保守・運用サービスなどを提供する施設.「インターネットデータセンター( IDC )」とも呼ばれる.また,サーバを預かり回線や保守を提供するサービスを「コロケーションサービス」とか「ハウジングサービス」と呼ぶ.自らが用意したサーバを顧客に貸し出すホスティングサービスを提供する業者もある.

      データセンターは耐震性に優れたビルに高速な通信回線を引き込んだ施設で,自家発電設備や高度な空調設備を備え,ID カードによる入退室管理やカメラによる 24 時間監視などでセキュリティを確保している.基本的にサーバの運用は顧客自身が行なうが,停止してないか監視するサービスや,定期バックアップなどの付加サービスを提供しているところもある.

      ユーザ単独では実現が難しい環境を実現できるため,リスク低減の効果を期待できる.

    8. SOA( Service Oriented Architecture ): サービス指向アーキテクチャ.ソフトウェアの開発言語や動作環境が異なっていても,外部から標準化された手順で呼び出しが可能なアプリケーションソフトウェアの集合.

3-6-21 システム活用促進・評価

  1. 主要な用語

    1. 情報リテラシー: 情報を自己の目的に適合するように使用できる能力のことである.コンピュータリテラシと混同される場合も多い.

    2. エンドユーザコンピューティング( EUC ): 情報システム分野だけがコンピュータシステムを開発・運用するのではなく,エンドユーザ(末端利用者)も積極的に関わるという考え方がエンドユーザコンピューティング( EUC )である.これを実現するためには,エンドユーザに対する教育や専門家でなくても使用できるようなインタフェースの開発が重要になる.

    3. ディジタルディバイド: パソコンやインターネットなどの情報技術 ( IT ) を使いこなせる者と使いこなせない者の間に生じる待遇や貧富,機会の格差のことであり,個人間の格差の他に,国家間,地域間の格差を指す場合もある.若者や高学歴者,高所得者などが情報技術を活用してますます高収入や雇用を手にする一方,コンピュータを使いこなせない高齢者や貧困のため情報機器を入手できない人々は,より一層困難な状況に追い込まれる.いわば,情報技術が社会的な格差を拡大,固定化する現象がディジタルディバイドである.

  2. 環境関連

    1. 環境アセスメント: 環境影響評価のことである.主として大規模開発事業等による環境への影響を事前に調査することによって,予測,評価を行う手続きのことである.

    2. ゼロエミッション: 自然界への排出ゼロのシステムを構築する,または,それを構築するように目指すことを基本的な考え方とする.具体的には,ある産業の副産物や不要物(廃棄物)を別の産業において有効利用することにより,社会全体で資源を循環させることが軸となっている.

    3. グリーンIT: PC,サーバ,ネットワークなどの情報通信機器の省エネや資源の有効利用だけでなく,それらの機器を利用することによって社会の省エネを推進し,環境を保護していくという考え方である.

3-7 中分類7:システム企画

3-7-22 システム化計画

  システム化計画では,情報システム戦略に基づいてシステム化構想及びシステム化基本方針を立案して,対象業務を分析し,開発体制,各システムの開発順序(スケジュール),リスク分析,費用対効果,適用範囲など,システム化の全体像を明らかにする.

3-7-23 要件定義

  要件定義とは,経営戦略やシステム戦略を考慮して,利用者の要求の調査,調査内容の分析,現行業務の分析,業務要件の定義,機能要件の定義などを行い,システムに求める機能及び要件を定義することである.

3-7-24 調達計画・実施

  調達の流れとその内容を理解する.

  1. 情報提供依頼( RFI:Request For Information ): 提案依頼書( RFP )の作成に先立って,考えうる手段や技術動向に関する情報を集めるために,ベンダ企業に対しシステム化の目的や業務概要を明示し,情報提供を依頼すること

  2. 提案依頼書( RFP:Request For Proposal ): ベンダ企業に対し,導入システムの概要や提案依頼事項,調達条件などを明示し,提案書の提出を依頼するための文書

  3. 提案書: RFP に基づき,システム構成,開発手法などを検討した文書

  4. 見積書: システムの開発,運用,保守などにかかる費用を示す文書

  5. 検収: ベンダ側で完成させた内容を利用者側がテストし,受け入れること
   

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