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青春 18 切符を利用した旅

  私が,初めて一人で長い旅をしたのは,高校 3 年における大学受験を終了した後でした.「遠くへ行きたい」の歌詞に誘われるようにして旅に出ました.入学試験終了から合格発表まで日にちがあったので(たぶん,2 週間程度),一人で九州に行きました.同じような一人旅をしている方と一緒になったり,とても楽しい旅でした.鹿児島で体調を崩し,薬を飲もうと水が飲める場所を探していたら,小学校高学年の少年が声を掛けてくれ,水飲み場まで案内してくれました.地方(鹿児島?)の小学生は純真でかわいいと切に感じました.合格発表の前日に名古屋へ帰る予定でしたが,集団就職のため,鹿児島から名古屋方面へ向かう長距離列車に乗れなくなってしまい,合格発表に間に合いませんでした.当時は,合格者の受験番号を大学に貼り出すといった形で合格発表を行っていました.その緊張と感激を是非味わいたかったのですが,結局,大学の合格発表を見ることができなかったのが最大の心残りです.私が,家に帰ると,「合格していたから,すぐに入学手続きをしてこい」と母に言われたのが,私の合格発表でした.合格発表の日,母が私の机から受験票を持ち出し,大学に行ったそうです.

  上で述べた経験が基になり,学生時代,1966 年(昭和 41 年)4 月~ 1972 年(昭和 47 年)3 月,均一周遊券を利用してよく旅行をしました.ここで,均一周遊券とは,JR が国鉄と呼ばれていた時代に発売されていた切符であり,例えば,北海道均一周遊券であれば,出発地から北海道への往復を含め,北海道内の国鉄(普通列車に限る)をある期間乗り放題になる切符です.期間は,出発地や周遊対象地域によって異なり,名古屋から出発する北海道均一周遊券であれば,2 ~ 3 週間だったと思います.青森から夜行列車に乗り,青函連絡船で北海道に渡りました.「津軽海峡冬景色」と同じルートでしたが(私の場合,季節は夏),その時代では,多くの人がこのルートで北海道へ行っていたと思います.飛行機を利用する方法もありましたが,とても贅沢な選択であり,私には不可能でした.

  その当時,方言などを含め,地方毎の文化がかなり異なっていたように思います.また,それが,旅をする楽しみであったような気がします.鉄道が長距離輸送の主な手段であり,様々な人が利用していました.団体で乗車した人が列車内で宴会を始めたり,たまたま同席した人同士で会話が進むような光景もよく目にしましたし,私自身も,知らない人に話しかけられることもありました.方言を使用している人も多く,それらの話し声を聞いただけで,旅にでた喜びを感じました.就職して独身寮に向かうため外房線に乗車しましたが,その列車の中でも,「~だっぺ」表現を多く耳にし,新しい生活の始まりを実感しました.旅行中は,列車以外でも多くの方言を耳にしました.東北地方では,東北弁を使用したラジオ番組がありましたが,その内容を十分理解できませんでした.鹿児島では,駅の待合室で電車を待っている際,数人の女子高生がおしゃべりをしていましたが,やはり,方言が強くてとても理解できませんでした.勿論,道を聞いたりしたような場合は,標準語で答えてくれました.ただし,お年寄りの場合は,方言が混じり,理解に苦労しました.また,修士課程を修了する最後に,女性を含めたグループで鹿児島に行きましたが,女性の荷物を男性が少し持ってあげて歩いていた際,おばあさんに「男性に荷物を持たせるなんて!」と言われたことがあり,文化の違いを感じました.与論島などの南の島に行くと,言葉の違いは決定的でした.与論島で民宿に宿泊した際,隣の部屋で地域の方が大きな声で話し合いをしていましたが,理解できたのは,1,000 円とか 2,000 円とかいった金額だけでした.

  しかし現在ではどうでしょうか.多くの人が車を利用し,鉄道を利用する人が少なくなったと共に,利用目的や利用する人のタイプが異なってきたように感じます.高校生は相変わらず利用していますが,あれだけおしゃべりであった女子高校生が,他の人と同様,スマホを眺めているだけでほとんど話しません.とはいえ,列車内で多少の会話を聞くことができますが,ほとんどの人が,標準語または標準語に近い言葉で話しています.駅の作りも似ていますし,地域毎の特徴が非常に少なくなりました.それでも,旅に出る価値は十分残っていると思います.外国旅行も何回か行きましたが,地域毎の特徴といった面では良いのかもしれませんが,冒険的なことを目指すのではなければ,手続きの面倒くささに加え,以下に示すような点から,私は国内旅行の方が好きです.

  数年前より,春と夏に,青春 18 切符を利用して各地を旅しています.昔と比べ,

などの問題もありますが,列車が好きであれば,楽しい旅になると思います.赤字路線廃止の問題が常に話題になっています.それを危惧し,列車を利用する人が増えることを望んだのが,このページを作成した大きな理由です.なお,青春 18 切符を利用する理由は,鉄道による旅行が好きなだけではありません.お金の問題も私にとって非常に重要です.そのため,JR の普通列車で直接行ける場所を重点的に選択し,駅から車などを利用しなければならない場所はできる限り避けています.旅館やホテルも,以下のような基準で選択しています.

  旅における楽しみの一つは,地方のおいしいものを食べることにあるかもしれませんが,予算を切り詰めている関係もあり,あまり食べることを目的にするようなことは行っていません.食事は,基本的に,コンビニの弁当,おにぎり,パンなどで済ませています.ただし,時々贅沢をして(せいぜい,1,000 ~ 2,000 円程度ですが),地方の名物を食べることもあります.

  以下,2024 年に行った旅から順に記載していきます.ただし,自分の年齢を考えると,これが最後かもしれません.

  1. 秋保温泉,月岡温泉( 2024 年夏)

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