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組み込みオブジェクトと関数

  JavaScript では,ブラウザの各部品や情報をオブジェクトとして取り扱うことができます.さらに,このオブジェクトのプロパティ(オブジェクトの持っている属性値)やメソッド(オブジェクトに対する操作を行う関数)を使用して,オブジェクトの値や処理の手順を動的に変更することが可能です.

  オブジェクトを大きく分けると,ブラウザが本来持っている部品や情報を扱うナビゲータオブジェクトと,JavaScript 独自に組み込まれたビルトインオブジェクトに分類できます.オブジェクトは,階層構造をしており,あるオブジェクトのプロパティなどを使用するときは,たとえば,window オブジェクトの下にある document オブジェクトのプロパティを参照するためには,「window.document.プロパティ名」のように,オブジェクト間の関係を表すため,「 . 」(ピリオド)で区切って記述する必要があります.ただし,1番上の window オブジェクトは省略することが出来ます.

  また,各オブジェクトとは別に,全体に共通な処理を行うトップレベル関数ビルトイン関数)が存在します.

  1. ナビゲータオブジェクト

    1. navigator オブジェクト: ブラウザに関する情報(名前,コード,バージョン等)
    2. screen オブジェクト: ディスプレイに関する情報(幅,高さなど)
    3. event オブジェクト: イベントの処理
    4. window オブジェクト: ウインドウの処理(ウインドウの生成,移動,サイズ変更,スクロール,タイマー等)
    5. location オブジェクト: 表示 URL の制御
    6. history オブジェクト: 履歴情報の処理(前のページ,次のページへの移動等)
    7. document オブジェクト: HTML 文書の処理
    8. link オブジェクト: リンク情報の処理
    9. form オブジェクト: フォームの処理
    10. image オブジェクト: イメージの処理

  2. ビルトインオブジェクト

    1. Date オブジェクト: 日付や時間情報
    2. Math オブジェクト: 数学関係の定数や関数
    3. String オブジェクト: 文字列の操作
    4. Array オブジェクト: 配列の操作
    5. Set オブジェクト: 同じ値の要素を記憶しない配列
    6. Map オブジェクト: キーと値のペアをキーの挿入順に記憶

  3. ビルトイン関数(トップレベル関数)

      ビルトイン関数(トップレベル関数)には,以下に示すようなものが存在します.

    1. escape(文字列)  「文字列」を ASCII 形式の文字列(フォームから送られてくる%付の文字)に変換する

    2. eval(文字列)  「文字列」を JavaScript の文として評価する

    3. isFinite(値)  「値」が有限数であれば true,そうでなければ false を返す

    4. isNaN(値)  「値」が数値であれば false,そうでなければ true を返す

    5. parseFloat(文字列)  「文字列」を浮動小数点数に変換する.変換できない場合は,NaN を返す

    6. parseInt(文字列)  「文字列」を整数に変換する.変換できない場合は,NaN を返す

    7. parseInt(文字列, n)  「文字列」を n 進数とみなして整数に変換する.変換できない場合は,NaN を返す

    8. unescape(文字列)  ASCII 形式の「文字列」を 通常の文字列に変換する

    プログラム例 3.1] トップレベル関数(ビルトイン関数)の使用例 → 表示

    <!DOCTYPE HTML>
    <HTML>
    <HEAD>
    	<TITLE>top</TITLE>
    	<META HTTP-EQUIV="Content-Type" CONTENT="text/html; charset=utf-8">
    	<META NAME=viewport CONTENT="width=device-width, initial-scale=1">
    	<LINK REL="stylesheet" TYPE="text/css" HREF="../../../master.css">
    </HEAD>
    <BODY CLASS="white">
    	<H1 STYLE="text-align: center">トップレベル関数(ビルトイン関数)</H1>
    	<SCRIPT TYPE="text/javascript">
    		document.writeln("<DL>");
    		document.writeln("<DT>eval");
    		document.writeln("<DD>10 + 20 は " + eval("10 + 20"));
    		document.writeln("<DT>isNaN");
    		document.writeln("<DD>10(半角) は " + isNaN("10") + ",10(全角) は " + isNaN("10"));		document.writeln("<DT>isFinite");
    		document.writeln("<DD>1.25 は " + isFinite(1.25) + ", Infinity は " + isFinite(Infinity));
    		document.writeln("<DT>parseInt");
    		document.writeln("<DD>125 は " + parseInt("125") + ", abc は " + parseInt("abc"));
    		document.writeln("<DD>以下はすべて 20: " + parseInt("20", 10) + "( 10 進の 20 ), " + parseInt("10100", 2) + "( 2 進の 10100 ), " + parseInt("24", 8) + "( 8 進の 24 ), " + parseInt("14", 16) + "( 16 進の 14 )");
    		document.writeln("<DT>parseFloat");
    		document.writeln("<DD>1.25 は " + parseFloat("1.25") + ", abc は " + parseFloat("abc"));
    		document.writeln("<DT>escape と unescape");
    		let str0 = "変換文字列";
    		let str1 = escape(str0);
    		let str2 = unescape(str1);
    		document.writeln("<DD>「" + str0 + "」 を変換すると 「"  + str1 + "」");
    		document.writeln("<DD>「" + str1 + "」 を元に戻すと 「"  + str2 + "」");
    		document.writeln("</DL>");
    	</SCRIPT>
    </BODY>
    </HTML>
    			

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