四国八十八カ所( 1 番霊山寺から 39 番延光寺まで)
(平成12年(2000年)夏)
- 予定では,へんろみち保存協力会編「空海の史跡を尋ねて:四国遍路ひとり歩き同行二人」に従い,できる限り歩行だけの遍路道をとって行動する予定だった.しかし,自転車にとって,歩行者用の遍路道は非常に厳しく,結果としてあまりお勧めできない.一般的に,歩行・車両双方が可能な遍路道を選択するのが最も良い方法であると思われる.特に,一般国道からはずれている場合は,自動車が少なく,自転車にとって走りやすい場合も少なくない.
- 1日目
夕方,自転車を輪行袋に入れ出発.高松まで行く予定であったが,集中豪雨のため新幹線が大幅に遅れ,岡山泊(以後も同様であるが,宿泊の予約はしていない).
- 2日目
高徳線板東駅に9時前に到着.自転車を組み立て,9時半頃板東駅を出発.遍路道に沿って,1番霊山寺,2番極楽寺,3番金泉寺,4番大日寺,5番地蔵寺,6番安楽寺,7番十楽寺,8番熊谷寺,9番法輪寺,10番切幡寺,11番藤井寺と巡拝.特に迷うことなく,また,道も平坦であり楽な行程であった.鴨島駅の近くに宿泊.走行距離約37キロ.
- 3日目
歩行だけの遍路道を通って12番焼山寺へ向かう.ハイキング道(登山道)であるため,勾配もきつく,階段も多く,自転車に乗れる箇所もほとんどなく,自転車を引いていくのさえ困難であった.かなりの部分で,自転車を持ち上げて運ぶ必要があった.難行苦行の末,6時間ほどで焼山寺に到着.少なくとも,山間部を通っている歩行だけの遍路道は避けた方が賢明である.次の13番大日寺へは,自動車道を下り,川沿いの道(県道20,21号)を進むことにした.
走りやすい道であったが,阿野橋の付近でパンク.やむを得ず,川の水を利用してパンク箇所を見つけ,修理.パンクの原因は,焼山寺へ向かう山道の途中でタイヤを傷つけ,それがチューブにまで及んだらしい(チューブ自体にも擦り傷).大日寺の近くに宿泊.走行距離約34キロ(内,12キロは歩行).
- 4日目
14番常楽寺,15番国分寺,16番観音寺,17番井戸寺と巡拝.しかし,18番恩山寺へ向かう途中で,再びパンク.タイヤを見ると,痛めた箇所がさらにひどくなっている.自分では修理不可能なため,自転車屋を探し修理を依頼.やはり,チューブの擦り傷の前日修理した箇所とは異なる場所から空気が漏れていた.タイヤへも応急処置をしてもらい,出発(1週間程度もつか否かが心配であった).
18番恩山寺,19番立江寺,20番鶴林寺と巡拝.生名から鶴林寺へは再び歩行だけの遍路道を利用.これも,かなりきつい道であり,自動車用の道(勾配はきつい)を利用すべきであった.途中で夕立に遭遇.雷と激しい雨が30分以上続いた.雨宿りするところもなく,また,暑さのため雨具を着る気にもなれず,全身びしょぬれとなった.
鶴林寺から21番太龍寺までは,自動車道でロープウェイ乗り場まで行き,往復にロープウェイを使って参拝.ただ,このロープウェイは,自転車も乗せてくれるので,自転車を持って太龍寺まで行き,反対側に降りた方がよかったかもしれない.
自動車道を経由して22番平等寺方面へ向かい,途中(多少コースを外れるが桑野付近)で宿を取るつもりであった.しかし,2軒ほどに断られ,やむを得ず橋の下で野宿.野宿の場合,風呂や選択が困難であるため,気持ちが悪く,明くる日の後半には自分自身が臭くなり,あまり推奨できない.走行距離約62キロ.
- 5日目
22番平等寺,23番薬王寺,鯖大師,24番最御崎寺,25番津照寺と巡拝.ほとんど,国道55号線を走ることになったが,以下においても,また,日本全国どこでも同じであると思われるが,主要な国道は車が多いため非常に走りにくかった.やむを得ず歩道を走ることもあったが,他と道との交差点における段差の度合いが少ない箇所が多く,助かった.
最御崎寺へ登るために再び歩行だけの遍路道を利用.道の入り口に自転車通行不可と書かれており,実際,ほとんどすべての行程で,自転車を持ち上げて進む必要があった.しかし,蚊に悩まされるといった問題もあるが,1時間程度で登ることができ,自動車道(かなり,急勾配)を利用するよりは時間的な短縮になったのではないだろうか.津照寺の近くに宿泊.走行距離約114キロ.
- 6日目
26番金剛頂寺,27番神峰寺,28番大日寺,29番国分寺,30番善楽寺と巡拝.特に問題はなかったが,途中にあった自転車専用道は快適であった.このような道が全国に整備されればツーリングももっと楽しくなるであろう.行程中では,神峰寺へ登る坂がきつかった.高知駅の近くに宿泊.走行距離約89キロ.
- 7日目
31番竹林寺,32番禅師峰寺,33番雪蹊寺,34番種間寺,35番清瀧寺,36番青龍寺,37番岩本寺と巡拝.清瀧寺から青龍寺までは,塚地トンネルを利用.青龍寺に参拝後は,宇佐大橋まで戻り,県道23号を経由(この道は,車も少なく,景色も良く,快適であった).岩本寺の少し前にある七子峠は,登りの距離も長く,100キロ近く走った状態にはかなり応えた.岩本寺の近くに宿泊.走行距離約104キロ.
- 8日目
38番金剛福寺に参拝.行きは岬の東側,帰りは岬の西側の道を経由.いずれの道も,上り下りはあるが,景色はよい.土佐清水港の近くに宿泊.走行距離約102キロ.
- 9日目
39番延光寺に参拝.一旦,下の加江まで戻り,三原村を経由し,国道56号線に出る道(県道21号)を利用.下の加江から国道56号線に出るまでの道(特に,三原村まで)は,車が少なく,日陰が多く,かつ,山越えであるのに急な登りがない,非常に走りやすい道であった.延光寺に参拝後,宿毛まで走り,土佐くろしお鉄道の宿毛駅で自転車を分解し輪行袋に入れた.走行距離約65キロ.
この日の内に,帰宅が可能な時間であったが,帰宅時間が遅くなるため,高知に宿泊し,体を休め,明くる日帰宅.