教育情報

  コンピュータシステムの発達により,「eラーニング」(コンピュータや通信機器など,IT を使用した教育の総称)という新しい分野が出現し,教育の環境が大きく変わりつつあります.例えば,教室で行う講義自体も,資料の提示,演習問題の作成・実施,レポート提出管理,成績管理などを支援してくれるシステムによって,その実施形態は急速に変化しています.

  少し前までは,遠隔地で行われている講義を生で受講することは非常に困難でした.非常に大がかりな設備が必要であり,たとえ実施できたとしても,単に講義を受けるだけという一方向性のものでした.しかし,最近では,インターネットに繋がっていさえすれば可能になってきました.さらに,単に講義を受けるだけでなく,質問をしたり,演習問題を行ったり,通信の高速化や画像・音声データの送受信方法の進歩によって,教室で行うのと余り変わらない環境で実施できるようになりました.そのため,大学や企業において,広く利用されるようになってきました.

  自学自習タイプの学習においても大きな変化が見られます.初期の CAI(Computer Aided Instruction)には,単に紙媒体の教科書を電子媒体に変換した程度のものが多く存在しましたが,現在では,インターネットを介してコンテンツを提供し,音声や画像を利用した説明の工夫,演習問題のコンピュータによる自動採点,学習履歴の管理など,より学びやすいものになってきました.どのようにしたら学習しやすいコンテンツを設計できるのか,この問題を扱うのが「インストラクショナルデザイン」です.

  学ぶ人の能力に合わせて教育を行うのが理想です.CAI においても,学習している人の能力(理解度)をコンピュータが判断し,適切に導いてくれればいうことはありません.そのようなことを目指すのが知的 CAI です.これも,「人工知能」分野における研究対象ですが,その実現にはかなりの困難が伴います.しかし,部分的にでも実現できれば,CAI の世界は格段に広がるはずです.

  現在,大学にも,自学自習タイプのコンテンツがいくつか用意されています.勿論,知的 CAI などといったレベルではありませんが,一度実行してみてください(基礎数学).

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